都市再構築・中心市街地活性化講習会2018講演内容紹介
講演内容紹介
※敬称略
コンパクトシティと地方都市再生の推進 |
国土交通省 都市局 市街地整備課長 渡邉 浩司 |
全国の地方都市において、中心市街地の活性化は依然として重要な課題であることに加え、都市のコンパクト化を進めることと地域の稼ぐ力を向上させることが、街づくりの重点課題となってきている。立地適正化計画の取組や都市のスポンジ化への対応、地方再生のモデル都市の取組など、コンパクトシティと地方都市再生の推進に関する国の最近の取組についてご講演いただく。 |
八戸市の都市再構築と中心市街地の活性化 |
青森県八戸市長 小林 眞 |
八戸市は、「八戸市中心市街地活性化基本計画」(第1期平成20~24年度、第2期平成25~29年度)を経て、平成30年3月に「八戸市立地適正化計画」を策定し、高次都市機能が集積する拠点の形成、適切な人口密度を持った市街地の維持、利便性・持続性の高い地域交通ネットワークの構築を一体的に進めていくことをまちづくりの方針に掲げ、中心街地区へ新美術館や屋内スケート場といった誘導施設の整備を推進している。また、八戸圏域連携中枢都市圏「スクラム8」での連携施策を推進するとともに、岩手県北久慈・二戸圏域との三圏域連携組織「北緯40°ナニャトヤラ連邦会議」を通した連携事業など、八戸広域圏の地域振興に注力している。 これらの施策や中心市街地におけるプロジェクト等についてご紹介いただくことで、地方都市の中心市街地活性化と立地適正化についての示唆を提供いただく。 |
長野市における民間主導による街なか空き店舗への開業及び定住の促進 |
長野市 都市整備部 市街地整備局 市街地整備課 課長補佐 前田 伸一 |
7世紀から8世紀に創建されたといわれる国宝善光寺を核として、歴史や文化を育みながら発展してきた長野市の中心市街地。全国から参拝客が集まる善光寺門前は、かつて、広域都市圏の交流拠点としても大きな求心力を有していた。 その後、時代が明治から平成へ移り変わる中で、賑わいは善光寺周辺から長野駅前、そして郊外へと拡散し、いつしか門前には往時の面影を残す古い建物が、活用されずに取り残されていった。 一方、近年、善光寺門前を中心に、いわゆる「リノベーション」によって、このような建物を活用する事例が増えており、そのほとんどが、個人や民間事業者の取り組みによるものである。 彼らは、時を経たデザインや材質が醸成する文化的な深み、低廉な賃料や改修の自由度等から、行政支援の有無に関係なく、リノベーションすることを選択している。 賑わいの核であった大型店の撤退と時期を同じくして、長野市の中心市街地に芽生えたリノベーションまちづくりの動きと、今日までの展開状況について紹介する。 |
JR福井駅周辺における交通結節機能の強化と官民連携のまちづくり |
福井市 都市戦略部理事 桑原 雄二 |
福井市では、平成30年度の福井国体や平成35年春の北陸新幹線福井開業等を見据えて、福井県とも連携をとりながら、福井市の中心市街地であるJR福井駅周辺の整備に重点的に取り組んでいる。 ネットワーク整備に関しては、福井県が施行する鉄道高架事業(平成30年度完了予定)と併せて、えちぜん鉄道鷲塚針原駅と福井鉄道越前武生駅間を相互乗り入れし、福井駅へのアクセス強化に取り組んでいるほか、新車両の導入や停留所のバリアフリー化、PTPS導入による定時性確保の取組みを推進し、公共交通ネットワークのサービス強化に取り組んでいる。 都市規範整備の面では、福井市施行の土地区画整理事業により、がいよおよび駅前広場を整備し、鉄軌道の乗り入れ空間を確保するとともに、東西市街地の一体的な高度利用、都市機能の高度化推進に取り組んでいる。また、地区計画制度により、建物用途の制限や、まち並みの景観統一を図り、環境のグレードアップにも取り組んでいる。 一方、「にぎわい交流拠点」として民間施設(商業、住宅等)を駅前に整備することで、中心市街地活性化を図り、都市再生推進法人である「まちづくり福井㈱」が、福井駅周辺の中心市街地活性化に向けた様々な取組み(コミュニティバス運営、イベント、店舗開業支援、エリアマネジメント協議会の立ち上げなど)を展開している。都市スポンジ化対策についても、市が主体となって土地利用の交換による地域価値の向上を目指した駐車場活用広場「新栄テラス」の取組みもある。 以上のようなコンパクトシティ実現に向けた交通結節点強化と市街地整備や、官民連携による中心市街地の活性化に関する具体的な事業等について紹介いただくことで、地方都市の都市再構築や中心市街地活性化についての示唆を提供いただく。 |
官民協働のまちづくりによる中心市街地の再生 |
飯田まちづくりカンパニー 代表取締役専務 三石 秀樹 |
飯田まちづくりカンパニーは、平成10年に市街地再開発事業の支援を主目的として市民により設立され、その後第三セクターとなったまちづくりの総合支援会社である。「中心市街地全体が公共性をもった市民財産である」、「土地・建物の所有と利用に関して、生活者の立場に立ってより合理的な権利関係の調整、マネジメントを行う」という視点を持ちつつ、物販・飲食事業、イベント・文化事業、空き店舗活用・テナントミックス、駐車場整備を実施している。 同社は、ディベロッパーを介さず、自らが行政や企業と密に連携しながら中心市街地活性化事業を推進しており、近年では「並木横丁いこいこ」まちなか空店舗再生創業事業に取り組み、第2回先進的まちづくりシティコンペの国土交通大臣賞を受賞している。 飯田市は多くのまちづくり組織が立ち上がり同社をソフト面で支えていて、また、同社は各組織に対し、金銭的、人的支援を行い支えあっているという全国的に見てもまれに見るまちづくり組織を形成している。 更に飯田市は、これもまた全国的に見てもまれに見る官民協働が進んだ地域で、この関係性も大きくまちづくりに貢献している。 以上のような市民・企業・行政の共同による中心市街地活性化に関する具体的な事業等について紹介いただくことで、地方都市の都市再構築や中心市街地活性化についての示唆を提供いただく。 |